街がある。
人が動いている。おじいさん、おばあさん、おじさん、おばさん、にいさん、ねえさん……てくてくてくてく……。子供も歩いてる。犬も歩いてる。あれは人間の赤ちゃん、はいはいしてる。1人で出歩いてとても危ない。どんっ、という重い音。ほらやっぱり危なかった。赤ちゃんは車に轢かれてしまった。車は逃げていった。
そこの家に強盗が入った。警察官がやってきて、家を取り囲んだ。強盗は主婦を人質に取った。主婦を殺すと叫んでいる。後ろ側から警官がそっと忍び寄って、強盗に飛びかかった。その拍子に、強盗の手にあるナイフが主婦の首に突き刺さる。主婦は叫ぶ間もなく死んでしまった。
広い道に通り魔が出た。ざしゅ、ざしゅ、ざしゅ。通行人が次々と倒れていく。通りが真っ赤に染まった。男は数人の男達に取り押さえられた。
猟奇殺人が起こった。犯人は黒い服の男だ。あっちにいったり、こっちにいったり。女の子を十人くらい殺したところで、警察に捕まってしまった。
僕はずっと見ていた。この世界の人の行動をカンシしていた。僕は神様だ。僕は神様だ。僕は……。
僕は――。
「ヒロナオ。早くおもちゃ片づけなさい。お風呂に入るわよ」
後ろから声がする。お母さんの声だ。
僕は黄色や青のブロックで作ったビルを崩した。ブロックの家も壊した。全部壊した。全部壊して、黒いビニール袋に詰めた。絨毯の上に残ってるのは、中指くらいのゴム人形が十七個。それも掴んで、袋の中に放り込んだ。世界がなくなった。
「ヒロナオー」
「はーい。今行くー」
僕は立ち上がり、お母さんのところへ真っ直ぐに走っていった。
お風呂から出たら、また神様になろう。